【2026年9月追記】新しいiPhoneも、40万円未満の特例は使える?
Appleが2026年9月に発表したiPhone 18 Pro・iPhone 18 Pro Max・iPhone Duo。「仕事用に買うなら、今年まとめて経費にできる?」と気になる方もいるのではないでしょうか。
仕事で使うスマートフォンも、取得価額や青色申告などの要件を満たせば、少額減価償却資産の特例の対象になり得ます。新機種の価格を、まずは税込経理の場合で見てみましょう。

Apple公式価格(2026年9月10日確認・税込・下取りなし)では、iPhone 18 Pro/Pro Maxは1TBまで、iPhone Duoは512GBまでが40万円未満です。
税抜経理では判定が変わります。たとえばiPhone 18 Proの2TBは税込429,800円ですが、税抜では約390,727円。取得価額に加える費用がなければ、40万円未満となります。一方、税込399,800円のiPhone Duo 512GBは、送料などを加えると40万円以上になる可能性があるため注意してください。
青色申告・年間300万円枠などの要件に加え、仕事と私用で兼用する場合は家事按分も必要です。予約や支払いだけで経費になるわけではなく、実際に取得し、仕事で使い始める時期を確認しましょう。
価格・発表の出典:Appleの発表/iPhone 18 Pro・Pro Maxの価格/iPhone Duoの価格。制度:国税庁・減価償却のあらまし。
1.35万円のPCも、その年に全額経費にできるように
ここからは35万円のパソコンを例に、特例の条件と記帳・申告の流れを詳しく解説します。
「仕事用に35万円のパソコンを買ったけれど、今年の経費にしていいの?」
動画編集やデザイン、開発などの仕事では、機材にまとまったお金がかかります。そんなときに知っておきたいのが、2026年に対象が広がった「少額減価償却資産の特例」です。
この記事では、個人事業主が35万円のPCを買ったケースで、使える条件と購入後の手続きを確認します。まずはご自身に関係するところから読んでみてください。
今回の改正で変わったのは、特例を使える備品の金額です。従来の「30万円未満」から、「40万円未満」へ広がりました。
ただし、2026年に買ったものなら何でも新基準になるわけではありません。
取得した時期 | 特例の金額基準 |
|---|---|
2026年3月31日まで | 30万円未満 |
2026年4月1日以後 | 40万円未満 |
35万円のPCなら、3月までの取得分はこの特例の対象外、4月以後の取得分はほかの条件を満たせば対象になります。40万円ちょうどは対象外なので、「40万円以下」と覚えないようにしましょう。
適用期限は2029年3月31日まで延長されました。一方、特例を使える年間の合計上限は、原則300万円のままです。国税庁・改正後の対象金額と期間
補足:法人の情報とは分けて確認を
法人には、常時使用する従業員数が400人を超える法人を対象から外す改正もあります。本記事では個人事業主の条件を説明します。中小企業庁・改正後の制度
2.そもそも「減価償却」って何?
減価償却は、長く使うものの購入費を、何年かに分けて経費にすることです。
例えば、35万円のPCを買ったとします。お金は購入時に支払っていても、PCはその後も故障したり機能が古くなって使えなくなるまでは仕事で使い続けることができるため、1年ではなく、使えると見込まれる一定の期間において費用にします。
一般的な新品PCについて、使えると見込まれる期間(法定耐用年数)の年数は税務上4年ですので原則的には、35万円を4年に分割して経費に計上することになります。国税庁・PCの耐用年数
この原則に対して、条件を満たす備品を仕事に使い始めた年にまとめて経費にできるのが、少額減価償却資産の特例です。
関連記事:減価償却って何?パソコンの購入でわかる、経費を分ける仕組み
3.少額減価償却資産の特例を使う前に確認したい6つのポイント
まずは、使える条件を確認しましょう。そのうえで、税負担やほかの買い物との組み合わせも見てみます。
① 青色申告をしている?
少額減価償却資産の特例は、青色申告をしていることが要件です。白色申告では使えません。
また、副業の収入を「雑所得」として申告している場合、その雑所得にこの特例は使えません。「副業だから対象外」ではなく、どの所得として申告するかで確認します。
また、個人の対象者には、常時使用する従業員数が1,000人以下という条件もあります。国税庁・対象者と対象となる業務
② いつ取得して、いつ使い始めた?
注文日や支払日だけで判断しないことが大切です。取得した日と、実際に仕事で使い始めた日を確認しましょう。
例えば、12月に代金を払っても、届いたのが翌年1月なら、支払いだけを理由に12月の経費にはできません。届いていても、まだ仕事で使い始めていなければ同様です。
改正後の特例は、原則として2029年3月31日までに取得し、仕事で使い始める必要があります。ここでは自分の仕事に使う備品を想定しています。人に貸すための資産は、貸付けを主な業務として行う場合を除き、対象外ですので注意しましょう。国税庁・使用開始と貸付用資産の取扱い
③ 40万円未満かどうか、どの金額で見ている?
判定するのは、備品を手に入れるためにかかった「取得価額」です。原則として、本体代金に送料なども含めて考えます。国税庁・減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用
消費税を含めるかどうかは、普段の経理の方法によります。
経理の方法 | 判定に使う金額 |
|---|---|
税込経理:消費税を含めて記録する | 税込の取得価額 |
税抜経理:消費税を分けて記録する | 税抜の取得価額 |
消費税の免税事業者は税込経理です。その買い物だけ、都合のよい方を選ぶわけではありません。国税庁・税込/税抜の判定
関連記事:税込経理と税抜経理の違いは?パソコンの経費判定はどちらの金額?
仕事と私用の両方で使う場合は、私用分まで経費にできるわけではありません。金額基準の判定と、仕事で使う割合に応じた経費の計算は、分けて確認しましょう。
関連記事:仕事と私用で使うパソコン、10万円・20万円・40万円の判定は家事按分の前?後?
④ 年間300万円の枠と、申告の準備は大丈夫?
1台ずつは40万円未満でも、何台でも使える制度ではありません。特例を使う備品の取得価額の合計は、原則として年間300万円までです。年の途中で開業・廃業した場合は、事業を営んだ月数に応じて限度額を計算します。中小機構・年間上限の考え方
注意したいのは、備品1つを途中で分けて枠に入れることはできない点です。例えば、残りの枠が20万円のとき、35万円のPCのうち20万円だけに特例を使うことはできません。
また、領収書を保存して会計ソフトに入力するだけでなく、確定申告で特例を使うための記載・明細も必要です。記帳と申告の例は、後半で説明します。国税庁・特例の申告手続き
⑤ 償却資産税まで含めて考えている?
この特例で全額経費にしても、PCなどは償却資産申告の対象です。償却資産税は、事業用の設備・備品などにかかる固定資産税のこと。申告と実際の納税については、後半で説明します。
ここで押さえたいのは、比較する方法によって違いがあることです。
35万円のPC:通常の減価償却でも、今回の特例でも、償却資産の申告対象です。
15万円の備品:3年間で経費にする「一括償却資産」を選べば、償却資産の申告対象外です。一方、今回の特例で経費にすると対象になります。
つまり、35万円のPCでは、特例を使ったことだけで償却資産税が新たに増えるわけではありません。15万円の備品では、今年まとめて経費にするメリットと、償却資産税への影響を比べる意味がありますので覚えておきましょう。大阪市・経費処理ごとの申告対象
⑥ 300万円の枠を、どの備品に使う?
買い物が多い年は、すべてに同じ処理を選ぶ前に、金額ごとに整理してみましょう。
10万円未満の備品は、通常の少額資産のルールで全額を経費にできるため、この特例の枠を使いません。
10万円以上20万円未満の備品には、一括償却資産として3年間で経費にする選択肢があります。こちらも特例の枠を使いません。
そこで、枠が足りなくなりそうなら、20万円以上40万円未満の備品に特例を優先し、20万円未満は一括償却資産にするという組み合わせが考えられます。これらは、自分の仕事に使う一般的な備品についての整理です。国税庁・各制度の金額基準
例えば、年間を通じて事業を営み、既に特例を使う予定の備品が260万円分あるとします。さらに35万円のPCと15万円の備品を買うと、合計は310万円です。
この場合、PCに特例を使えば、枠を使う金額は260万円+35万円=295万円。15万円の備品は一括償却資産にして、毎年5万円ずつ経費にする方法があります。
ただし、これは組み合わせの一例です。今年と来年以降の利益の見込みや、償却資産税が実際にかかるかも踏まえて選びます。「枠を全部使い切ること」自体が目的ではありません。
4.35万円のPCで、記帳から確定申告まで見てみよう
ここからは、動画編集をしている個人事業主が、新品の仕事専用PCを買ったケースで確認します。
今回の条件
年間を通じて事業を営み、青色申告をしている。従業員はいない。
2026年7月1日にPCを取得し、その日から仕事で使い始めた。
送料などを含めて税込35万円。税込経理で、仕事に100%使用。
同年に特例を使うほかの備品はなく、このPCに他の優遇措置は使わない。
サーバー用ではなく、償却方法を別途選択していない。
今年の経費は、特例なら35万円
この条件なら、特例を使って35万円全額を2026年分の経費にできます。
通常の減価償却をした場合とも比べてみましょう。個人事業主のPCは、償却方法を別途選択していなければ「定額法」で計算します。これは、原則として毎年同じペースで経費にしていく方法です。国税庁・法定償却方法
処理方法 | 2026年分の経費 |
|---|---|
今回の特例を使う | 350,000円 |
通常の減価償却・定額法 | 43,750円 |
定額法の計算は「35万円×0.250×6か月÷12か月」。耐用年数4年に対応する割合を使い、7月から12月までの6か月分を計算しています。国税庁・計算方法
補足:定率法を選択している方へ
適法に定率法を選択・変更している場合、このPCの初年度は「35万円×0.500×6か月÷12か月=87,500円」です。どちらの方法も毎年自由に選び直せるわけではありません。国税庁・償却率表、償却方法の変更手続き
35万円が経費になることと、35万円の税金が戻ることは違います。実際に減る税額は、所得や税率などで変わります。また、通常の減価償却でも残りを将来の経費にしていくため、主な違いは「いつ経費にするか」です。
購入後の手続きは、3ステップ
STEP 1:PCを帳簿に記録する
事業用の普通預金から支払った場合の記帳例です。まずは、仕事で使う資産として登録します。
借方 | 貸方 |
|---|---|
工具器具備品 350,000円 | 普通預金 350,000円 |
STEP 2:決算で全額を経費にする
借方 | 貸方 |
|---|---|
減価償却費 350,000円 | 工具器具備品 350,000円 |
これは、資産の金額を直接減らす「直接法」の例です。会計ソフトで特例による償却を設定する場合は、別に手入力して二重に経費にしないよう確認してください。
資産を管理する一覧である「固定資産台帳」には、名称・取得日・使用開始日・取得価額などを残します。全額経費にした後も、次の償却資産申告に使う情報です。
STEP 3:確定申告に特例の適用を反映する
取得価額の明細書を添付する方法のほか、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に次の内容を書き、明細を別途保管する方法があります。
特例を使う資産の取得価額の合計
この特例を使う旨(「措法28の2」)
明細を別途保管している旨
「措法28の2」は、特例の根拠となる条文を表す記載です。難しく見えますが、確認したいのは経費の金額だけでなく、特例を使ったことも決算書に反映されているかです。国税庁・明細書と決算書の記載
5.最後に忘れずに!償却資産の申告
所得税の確定申告ができれば終わり、と思いやすいところですが、PCなどの備品には「償却資産申告」という別の手続きがあります。
毎年1月1日時点で持っている事業用の設備・備品などを、資産がある市区町村などへ申告します。東京23区の窓口は都税事務所です。東京都主税局・償却資産申告
今回のPCも、翌年1月1日に所有し、事業に使える状態なら申告対象です。所得税の計算で帳簿上の金額がゼロになっていても、固定資産税では別のルールで評価されます。大阪市・全額経費にした資産の取扱い
申告が必要でも、必ず税金がかかるわけではない
償却資産には、税金がかからない基準である「免税点」があります。原則として、償却資産の免税点は、2026年度までは150万円、2027年度以後は180万円です。同一市町村内の対象資産の課税標準額の合計が、その年度の免税点未満なら、原則として税金はかかりません。ただし、申告の要否は別ですので誤解のないようにしましょう。
「課税標準額」は、税額を計算するための金額です。購入代金の合計や、所得税の帳簿残高とは異なります。
今回のPCだけなら通常は免税点未満です。ただし、税金がかからなくても、申告は必要。ほかの備品も持っている方は、一緒に確認しましょう。大阪市・免税点と申告対象
今回のPCは、2027年2月1日までに申告
期限は原則1月31日で、休日なら翌開庁日です。2027年度は2027年2月1日(月)が申告期限になります。太田市・申告期限の案内
所得税の確定申告よりも先に期限が来ます。年末に買った備品をまとめるときに、この申告の予定も入れておくと安心です。
関連記事:償却資産申告とは?個人事業主が確認したい対象資産・期限・免税点
6.買った後にやることをチェック
35万円のPCを買ったら、次の5点を確認しましょう。
取得日・使用開始日・取得価額がわかる資料をそろえる。
青色申告などの条件と、ほかの備品を含めた年間の枠を確認する。
通常の減価償却や一括償却資産との使い分けを考える。
帳簿と決算書に記録し、特例の明細を残す。
翌年の償却資産申告を予定に入れる。
機材の購入が増えるほど、経費の判断や申告の手間も増えていきます。「調べる時間を減らして、売上作りに集中したい」という方は、アウル確定申告のサービス内容・料金をご覧ください。






