合同会社における事前確定届出給与の支給について―東京国税局文書回答(令和7年2月7日)を踏まえた整理
2026.4.15
はじめに
「合同会社の定款、テンプレートのまま使っていませんか?」では、テンプレート定款に潜むリスクを記載事項の分類に沿って解説しました。そのなかで、「社員総会の設置」「業務執行社員の任期の定め」「役員報酬の決定方法」の3つは、事前確定届出給与を活用するための基盤となる"三位一体"の関係にあることをお伝えしました。
本稿では、この事前確定届出給与に焦点を絞り、制度の基本から合同会社特有の論点、定款の条文設計、届出から支給までのスケジュール、そして実務で陥りやすい失敗パターンまでを体系的に解説します。
合同会社で事前確定届出給与を支給できるのは、それなりの準備が出来ている会社に限られます。
業務執行社員に対して、毎月の定額報酬とは別に賞与(事前確定届出給与)を支給し、それを法人の損金として算入したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
- はじめに
- 第1章:事前確定届出給与の基本―役員給与の3類型と損金算入の原則
- 役員給与は原則として損金不算入―その理由は
- ①定期同額給与(法人税法第34条第1項第1号)
- ②事前確定届出給与(同条第1項第2号)★本稿のメインテーマ
- ③業績連動給与(同条第1項第3号)
- 事前確定届出給与を活用する実務上のメリット
- 資金繰りへの配慮
- 業績悪化時の柔軟性
- 社会保険料のプランニング
- 届出の基本的な流れ
- 第2章:合同会社特有の論点―東京国税局文書回答(令和7年2月7日)の読み解き
- 株式会社と合同会社の根本的な違い
- 東京国税局文書回答(令和7年2月7日)のポイント
- この文書回答から読み取れること
- 届出期限の整理
- 第3章:定款の条文設計 ― 事前確定届出給与に対応する定款のつくり方
- 社員総会に関する条項
- 業務執行社員の任期に関する条項
- 報酬に関する条項
- 職務執行期間の起算日に関する条項
- 第4章:届出から支給までのスケジュール
- ステップ1:定款変更(総社員の同意)
- ステップ2:定款変更に係る同意書(議事録)の作成・保存
- ステップ3:定時社員総会の開催・議事録の作成
- ステップ4:届出書の提出
- ステップ5:届出どおりの支給
- 第5章:実務上の注意点・よくある失敗
- 1. 届出と支給の不一致―差異に注意
- 2. 複数回支給の場合 ― 1回でもずれると他の回にも影響し得る
- 3. 全額不支給とする場合の手続 ― 支給日の「前」と「後」で取扱いが大きく異なる
- 4. 届出の変更・撤回
- 5. 届出期限の起算日を誤るリスク
- 第6章:セルフチェックリスト
- 【定款の整備に関するチェック】
- 【届出手続に関するチェック】
- 【支給実務に関するチェック】
- おわりに
第1章:事前確定届出給与の基本―役員給与の3類型と損金算入の原則
役員給与は原則として損金不算入―その理由は
法人が従業員に支払う給与は、通常、全額が法人税の計算上、経費(損金)として認められます。しかし、役員に支払う給与については事情が異なります。
役員は会社の意思決定に関与する立場にあり、報酬の金額を実質的に自らコントロールできる余地があります。したがって、もし役員報酬を完全に自由に増減できるとすれば、たとえば決算直前に「今期は利益が出すぎたので、役員報酬を大幅に増額して利益を圧縮しよう」ということが可能になり、法人税を意図的に操作できてしまいます。
これを防ぐため、法人税法第34条は、役員に対する給与を原則として損金不算入(経費として認めない)としたうえで、一定のルールに従って支給されたものに限り、例外的に損金算入を認めるという構造をとっています。
その「一定のルール」が、以下の3つの類型です。
①定期同額給与(法人税法第34条第1項第1号)
支給時期が1ヵ月以下の一定の期間ごとであり、かつ、各支給時期における支給額が同額もしくはそれに準じる給与です。いわゆる「毎月定額の役員報酬」がこれにあたります。合同会社において最も一般的な報酬形態であり、多くの合同会社が業務執行社員に対してこの形式で報酬を支払っています。
②事前確定届出給与(同条第1項第2号)★本稿のメインテーマ
役員の職務につき、所定の時期に確定した額の金銭等を交付する旨の定めに基づいて支給する給与で、納税地の所轄税務署長に届出書の提出が必要となるものです。いわゆる「役員賞与(ボーナス)」であり、本稿の主題です。
③業績連動給与(同条第1項第3号)
利益の状況を示す指標等を基礎として算定される給与です。この類型は有価証券報告書の提出義務がある法人等に限定されており、合同会社では利用できません。
つまり、合同会社が役員給与を損金算入する方法は、実質的に①定期同額給与と②事前確定届出給与の2つに限られます。
事前確定届出給与を活用する実務上のメリット
事前確定届出給与は、毎月の定額報酬(定期同額給与)を補完する制度です。この制度を活用する実務上のメリットは、主に以下の3点にあります。
資金繰りへの配慮
毎月の固定報酬を抑えつつ、資金に余裕のある時期にまとめて賞与を支給する設計が可能です。たとえば、毎月の報酬を30万円(定期同額給与)としつつ、売上の入金が集中する12月に100万円の賞与(事前確定届出給与)を支給するという設計が考えられます。
業績悪化時の柔軟性
届出書を提出しておいても、業績が悪化した場合には、支給日到来前に不支給の決議を行うことで全額不支給とすることや、業績悪化の届出を行うことによる減額修正できる場合があります。なお、あくまでも経済実態に基づいた運用が認められているのであって、恣意的な運用については、税務調査で指摘されるリスクがあることに留意が必要です。
社会保険料のプランニング
賞与にかかる社会保険料には上限額が設けられています(健康保険、介護保険及び子供・子育て支援金は年度累計573万円、厚生年金保険と子供・子育て拠出金は月間150万円)。毎月の報酬と賞与の配分を適切に設計することで、社会保険料の総額を最適化できる場合があります。
※定期同額給与を極端に低額にし、事前確定届出給与を大幅に増額することで、社会保険料を削減するようなスキームがインターネット上では見られますが、これについては制度の濫用とみなされるようなレベルのものも少なくありません。経済的実体からかけ離れたものについては、年金事務所からの否定リスクをはらんでいることに注意が必要です。なお、いわゆる過大役員給与については、通例定期同額給与と事前確定届出給与の総額での判断となると解されるため、税務上は現在問題とされる例は見受けられませんが、上記の未支給・未払時の取り扱いと併せて税務上のリスクを判定すべきと考えられます。
届出の基本的な流れ
事前確定届出給与を損金算入するためには、以下の手続が必要です。
まず、株主総会等の決議により、役員ごとに支給時期と支給金額を確定します。次に、「事前確定届出給与に関する届出書」(本体)と「付表1(事前確定届出給与等の状況(金銭交付用))」を、届出期限までに納税地の所轄税務署長に提出します。そして、届出書に記載したとおりの金額を、届出書に記載したとおりの時期に支給します。
この3つのステップのいずれかに不備があれば、支給した賞与の全額が損金不算入となります。「ほぼ合っていた」では済まされない、厳格な制度です。
第2章:合同会社特有の論点―東京国税局文書回答(令和7年2月7日)の読み解き
株式会社と合同会社の根本的な違い
株式会社においては、会社法が取締役の選任(第329条第1項)、任期(第332条)、報酬の決定(第361条第1項)、定時株主総会での計算書類の承認(第438条)といった一連の手続を定めています。このため、役員の「職務の執行の開始の日」は定時株主総会の開催日であると解するのが一般的であり、事前確定届出給与の届出期限の起算も明確です。
一方、合同会社にはこれらに相当する法定の手続がありません。業務執行社員には法律上の任期がなく、株主総会に相当する法定の機関もありません。会社法第590条第1項は、定款に別段の定めがある場合を除き、社員となった者がそのまま業務を執行すると定めているだけです。
この違いが、合同会社における事前確定届出給与の論点を生んでいます。合同会社の業務執行社員について、「職務の執行の開始の日」をいつとするのか、という問題です。
東京国税局文書回答(令和7年2月7日)のポイント
この問題に対し、2025年2月7日に東京国税局審理課長が文書回答を行いました。
照会者である合同会社は、業務執行社員に対して賞与を支給するにあたり、次の手続を行うとしています。
臨時社員総会で業務執行社員の任期(10年)を定款に明記し、
定時社員総会(事業年度終了後3か月以内に開催)で報酬・賞与の支給日・金額を総社員の同意をもって決定し、
届出書を届出期限までに提出して届出どおりに支給する、
というものです。定時社員総会の開催日を職務執行期間の開始の日とする設計です。
東京国税局はこれに対し、本件賞与が事前確定届出給与に該当し損金算入できること、届出期限は定時社員総会の開催日から1か月を経過する日であることを本文書で明確にしました。
この文書回答から読み取れること
文書回答の照会内容(別紙)を精読すると、回答の前提として以下の要素が揃っていることがわかります。
定款に「定時社員総会」の規定が設けられていること。
業務執行社員の任期が定款に定められていること(本件では10年)
定時社員総会の開催日を「職務の執行の開始の日」としていること
報酬及び賞与の支給日・金額が定時社員総会で総社員の同意をもって決定されていること。
つまり、合同会社が事前確定届出給与を活用するためには、定款上にみずから「社員総会」や「任期の定め」等を置くとともに、報酬の決定を社員総会で行うことによって、株式会社における株主総会・任期・報酬決定のプロセスに準じたものに設計する必要があると解釈できます。
届出期限の整理
合同会社における届出期限は、定時社員総会の開催日から1か月を経過する日です。ただし、事業年度開始の日から4か月を経過する日の方が早い場合は、その日が届出期限となります(法人税法施行令第69条第4項第1号)。
いずれか「早い方」が期限となる点に注意が必要です。
第3章:定款の条文設計 ― 事前確定届出給与に対応する定款のつくり方
東京国税局の文書回答の前提を満たすために、定款に盛り込むべき条項を解説します。
社員総会に関する条項
合同会社には法定の社員総会がないため、定款で任意に設置する必要があると考えられます。最低限定めるべき事項は、社員総会を機関として設置する旨、定時社員総会の開催時期(事業年度終了の日から3か月以内)、臨時社員総会の招集要件、決議方法(全社員の同意、または定款で定めた要件)、議事録の作成義務です。いずれも株式会社の定款に準じています。
なお、社員総会を置く場合には議決権について、頭数基準ではなく、出資額比率に基づくなどの定めを置くこともできますので、複数の社員が存在する場合は合わせて検討することが望ましいと考えられます。
また、社員総会においていかなる事項を決議するかは、各条項の文を修正するか(以下、報酬に関する条文参照)もしくは、社員総会の条項内に定めることが考えられます。
業務執行社員の任期に関する条項
合同会社の業務執行社員には法律上の任期がないため、事前確定届出給与の「職務の執行の開始の日」を明確にするために、定款で任期を定める必要があると考えられます。文書回答では任期10年が前提とされていましたが、任期の長さ自体は会社の実情に応じて設定できます。重要なのは、定時社員総会で再任(または退任)する仕組みを設けることで、職務執行期間の区切りを明確にすることです。
報酬に関する条項
前回の記事でも触れたとおり、合同会社の業務執行社員は法律上「原則無報酬」です。報酬を支払う法的根拠と、その決定手続を定款で明確にします。
(報酬等)
第X条 業務執行社員の報酬、賞与その他の職務執行の対価として当会社から受ける財産上の利益は、社員総会の決議をもって定める。
この条文により、定期同額給与と事前確定届出給与の双方について、社員総会が決定権限を持つことが定款上明確になります。
職務執行期間の起算日に関する条項
文書回答では、「定時社員総会の開催日」を職務執行期間の開始の日としていました。これを定款に明記しておくことで、届出期限の計算根拠がより明確になります。
(職務執行期間)
第X条 業務執行社員の職務の執行の期間は、当該業務執行社員を選任した定時社員総会の開催日から、翌年の定時社員総会の開催日までとする。
任期を10年としていても、職務執行期間を毎年の定時社員総会ごとに区切ることで、事前確定届出給与の届出を毎期行う基盤が整います。
第4章:届出から支給までのスケジュール
ここでは、3月決算の合同会社が、社員総会を未設置の状態から事前確定届出給与を活用するまでの一連の手続を時系列で整理します。
ステップ1:定款変更(総社員の同意)
まず、定款に以下の条項を追加する変更を行います。社員総会の設置(定時・臨時)に関する規定、業務執行社員の任期の定め、報酬の決定方法の定め、職務執行期間の起算日の定めです。
合同会社の定款変更は、定款に別段の定めがない限り、総社員の同意が必要です(会社法第637条)。なお、これらの定款変更は登記事項に該当しないため、法務局への変更登記は不要です。
ステップ2:定款変更に係る同意書(議事録)の作成・保存
定款変更について総社員の同意を得たことを証する書面(同意書)を作成し、保存します。日付、同意した社員全員の氏名、変更内容を明記します。この書面は、将来の税務調査等において、定款変更の事実と時期を証明するための重要な証拠となります。
ステップ3:定時社員総会の開催・議事録の作成
事業年度終了後3か月以内に定時社員総会を開催します。定時社員総会では、前事業年度の計算書類の承認、業務執行社員の再任(または選任確認)、当事業年度における定期同額給与の額、事前確定届出給与(賞与)の支給日・支給金額を決議します。
決議内容を記載した議事録を作成・保存します。
ステップ4:届出書の提出
「事前確定届出給与に関する届出書」と「付表1(事前確定届出給与等の状況(金銭交付用))」を作成し、届出期限までに所轄税務署長に提出します。届出期限は、定時社員総会の開催日から1か月を経過する日と、事業年度開始の日から4か月を経過する日の、いずれか早い方です。
届出書には、届出の対象となる業務執行社員ごとに、職務執行期間、支給時期、支給金額を記載します。届出書の様式は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
ステップ5:届出どおりの支給
届出書に記載した支給日に、届出書に記載した金額を正確に支給します。届出額は源泉徴収前の総額(額面)です。届出額と1円でも異なれば支給額の全額が損金不算入となりますので、金額・日付ともに厳密に一致させてください。
第5章:実務上の注意点・よくある失敗
1. 届出と支給の不一致―差異に注意
事前確定届出給与の最大のリスクは、届出書に記載した内容と実際の内容が異なれば、基本的に支給額の全額が損金不算入となることです。1日、1円でもズレれば即、損金不算入なのかと言われると、個別具体的なケースでは実務上そうでない場合もありますが、原則としてズレが無いよう支給しましょう。
2. 複数回支給の場合 ― 1回でもずれると他の回にも影響し得る
同一の職務執行期間中に事前確定届出給与を複数回(たとえば12月と6月の年2回)支給する場合、定めどおりに支給されたかどうかは「職務執行期間を一つの単位」として判定されます(国税庁質疑応答事例)。
つまり、同一の職務執行期間中に2回の支給を届け出ている場合で、1回目は届出どおりに支給したが2回目は届出と異なる金額を支給した場合、2回目の支給額が損金不算入となるだけでなく、原則として1回目の支給額も含めた全額が損金不算入となります。
ただし、事業年度をまたぐ場合には例外があります。当事業年度中は届出どおりに支給し、翌事業年度において届出と異なる支給をした場合には、当事業年度に支給した分については損金算入が認められる取扱いとなっています。これは、翌事業年度の事情により遡及的に前事業年度の課税所得が変動するのは不合理であるという考えに基づいています。
3. 全額不支給とする場合の手続 ― 支給日の「前」と「後」で取扱いが大きく異なる
届出書を提出したものの、業績悪化等により賞与を全額支給しないこととする場合、その手続のタイミングによって税務上の取扱いが大きく異なります。
支給日到来前に不支給の決議を行った場合
支給日が到来する前に、社員総会等で全額不支給の決議を行い、業務執行社員が賞与の受領を辞退した場合には、税務上の不利益は生じません。
役員賞与に係る債務は支給日に確定すると考えられているため、支給日の到来前に辞退すれば、そもそも債務が確定していないことになります。したがって、所得税の課税も生じず(所得税基本通達28-10)、会社側の債務免除益の認識も不要です(法人税基本通達4-2-3)。届出額と実際支給額(ゼロ)が異なるため事前確定届出給与には該当しませんが、支給額がゼロである以上、損金不算入額もゼロです。
支給日到来後に不支給とした場合
一方、支給日が到来した後に全額を不支給とした場合には、以下の影響が生じます。
税務上は、支給日の到来により業務執行社員に報酬請求権が発生し、会社には支給債務が生じたものと扱われます。その後に業務執行社員が請求権を放棄したとしても、会社側では債務免除益(収益)が計上され、課税対象となります。また、業務執行社員に対する報酬の支給があったものとして源泉徴収義務が生じます(実際には金銭を渡していなくても、です)。
まとめると、全額不支給を決断する場合は、必ず支給日の到来前に社員総会等で不支給の決議を行い、議事録を作成・保存してください。支給日を過ぎてからの対応では、手遅れとなります。
4. 届出の変更・撤回
届出書を提出した後に、支給額や支給時期を変更したい場合はどうすればよいでしょうか。
法人税法は、次の2つの事由に限り、届出内容の変更を認めています。
1つ目は臨時改定事由(法人税法施行令第69条第1項第1号ロ)です。役員の職制上の地位の変更、職務内容の重大な変更等やむを得ない事情により、届出内容を変更する必要が生じた場合です。この場合、臨時改定事由が生じた日から1か月を経過する日までに「事前確定届出給与に関する変更届出書」を提出する必要があります。
2つ目は業績悪化改定事由(法人税法施行令第69条第1項第1号ハ)です。経営状況の著しい悪化等により、届出どおりの支給が困難になった場合です。この場合も変更届出書の提出が必要ですが、業績悪化改定事由による変更は減額改定に限られます。
これらの事由に該当しない単なる「気が変わった」「資金繰りが少し厳しい」程度の理由では、届出内容を変更することはできません。ただし、変更届出書が認められなかった場合でも、前述の「支給日到来前の不支給決議」を行うことで不利益を回避できますので、業績悪化時にはまず変更届出を検討し、該当しなければ支給日前の不支給決議を行う、という段階的な対応が考えられます。
なお、そもそも届出書を提出する段階において、確実に支給できる金額を慎重に設定することが重要であることに変わりはありません。
5. 届出期限の起算日を誤るリスク
合同会社における事前確定届出給与の届出期限は、前述のとおり、定時社員総会の開催日から1か月を経過する日と、事業年度開始の日から4か月を経過する日の、いずれか早い方です。
届出期限に間に合わなくなることを避けるため、スケジュール管理の徹底が必要です。
第6章:セルフチェックリスト
最後にセルフチェックリストを設けましたので、必要に応じてご活用ください。
【定款の整備に関するチェック】
定款に社員総会(定時・臨時)を設置する規定があるか
定時社員総会の開催時期(事業年度終了後3か月以内等)が定められているか
業務執行社員の任期が定款に定められているか
業務執行社員の報酬・賞与の決定方法が定款に定められているか
職務執行期間の起算日(定時社員総会開催日等)が明確になっているか
【届出手続に関するチェック】
定時社員総会で、業務執行社員ごとに支給時期・支給金額を決議し、議事録を作成しているか
届出期限(社員総会開催日から1か月以内と事業年度開始日から4か月以内の早い方)を正確に把握しているか
届出書(本体)と付表1を所轄税務署長に提出したか
【支給実務に関するチェック】
届出書に記載した支給日に、届出書に記載した金額(源泉徴収前の総額)を正確に支給する体制が整っているか
業績悪化等により届出どおりの支給が困難になった場合、支給日到来前に不支給決議を行う手続を把握しているか
複数回支給の場合、同一職務執行期間内の判定ルール(1回でもずれると全額損金不算入)を理解しているか
おわりに
事前確定届出給与は、合同会社の業務執行社員に対して賞与を損金算入するための有効な制度ですが、株式会社と異なり、合同会社では制度を活用するための前提条件を自ら定款で整備する必要があります。
特に、社員総会の設置、業務執行社員の任期の定め、報酬決定方法の明記という3つの条項は、東京国税局の文書回答において事前確定届出給与の適用が認められる前提として示されたものであり、これらを欠いたまま届出を行うことは、将来的な否認リスクを伴う恐れがあります。(なお現段階において実際否認された事例は聞き及びませんが、合同会社の設立が増加していること等も踏まえると、回避できるリスクは事前に回避するのが望ましいでしょう)
また、届出額と支給額の完全な一致、届出期限の厳守、複数回支給の場合の判定ルール、全額不支給時の手続(支給日到来前の決議の重要性)など、実務上の注意点も多岐にわたります。
本稿が事前確定届出給与の活用を検討されている合同会社の経営者の皆様にとって、制度理解と実務対応の一助となれば幸いです。
なお、個別具体的な届出書の作成や定款の条文設計については、顧問税理士・司法書士にご相談ください。
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